第1課

【1】高齢化と少子化こうれいか と しょうしか

現代の日本は高齢化社会1である。日本の全人口のうちで,「老年人口(65歳以上の人)」は年々増え続けている。その割合は,1950年には全体の4.9%程度であった。しかしその後,95年には14.8%,2010年には25%まで増え、先進国の中で最高水準になった。2055年には,その割合は40%を超えるともいわれている。これらの数字から,先進国中で最も急速に高齢化が進んでいる国は日本であるといわれている。高齢化とは,単に高齢者が増えるというだけの現象ではない。高齢者以外の人,中でも,特に若者の割合が減り続けていることも意味する。ここに多くの問題点がある。
まず,(1)非老年人口,つまり若者や年少者の割合が単に減ったというだけでなく,少子化という問題とも密接に関係している。「少子化」とは,新しく生まれてくる子どもの数そのものが減り続けてきたということである。このままでは,十分に働ける人の数が減ってしまう。ほとんどが高齢者だけになってしまっては,生産のための人口が減るせいで生産力や経済力が大幅に落ちてしまう。事実,日本の出生率(正式には「合計特殊出生率2 」:一人の女性が一生のうちに産む子どもの平均数)は,1970年代から低下し続けてきた。2006年には1.32人にまで低下した。ほとんどの先進資本主義国で人口を維持するのに必要とされる出生率である2.1人を下回っている。すでに日本は,自分たちだけでは食料を自給できない国である。食料を輸入するためのお金や経済力がなくなってしまっては,国民全員が毎日の暮らしに困るようになってしまう。
次に,将来の人口の問題が考えられる。新生児の出生率は長年にわたって減少傾向にある。現在のように若者が減っていても高齢者が増えている状態であれば,人口は増加傾向にある。しかし,やがて高齢者層が死亡していくと,全体の人口数が減っていく。全体的な人口数が極端に減ってしまうと,これもまた,国力の低下という事態につながる。特に,生産力や経済力の低下は避けられない。
日本は,原則的に65歳から年金(老齢年金)がもらえる制度がある。この年金のために,成人男女は20歳から25年以上にわたって国に保険料を積み立てる。そして,この保険料は,ほぼ毎年値上がりしている。物価の上昇率も関係しているが,もっと大きな原因は,ほかにある。すでに述べた社会の高齢化と少子化のためである。長年の少子化傾向によって労働人口が減ってきたことはすでに述べた。どの程度減ってきたかというと,主な労働力となる15歳から64歳までの人口は,1950年には全体の59.6%,2005年は65.8%であった。2050年には51.8%になると予想されている。


[問1] 下線部(1)の「非老年人口」のうち,14歳以下を「年少人口」という。15歳から64歳までの人口を何というか。次の(1)〜(4)のうちから,一つえらびなさい。

(1)生活年齢人口
(2)生産年齢人口
(3)製造年齢人口
(4)年中者人口

[問2] 高齢化と少子化が進むと、起こる問題は何か。問題として誤っているものを、次の(1)〜(4)のうちから,一つえらびなさい。

(1)生産力の低下
(2)国の人口の減少
(3)一人当たりの年金負担の減少
(4)老人介護の費用の増加

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