第10課

【10】グローバリゼーションと地域統合グローバリゼーション と ちいきとうごう

グローバリゼーションとは、これまでの国家や地域などの境界を越えて地球規模で結びつきが強くなることをいう。1970年代から広く使われるようになった。科学技術の発展にともなって、世界全体の文化や経済が一つになりつつあり、とくに経済分野のグローバル化が進んでいる。貿易の発展は直接投資を含む資本の流動化を進め、国際金融システムを発展させ、多国籍企業による世界経済の支配を強めている。

現在、アメリカは、様々な分野で世界をリードし、支配的立場に立っている。そのため、アメリカの経済システムに世界の経済が組み込まれ、アメリカのシステムが世界のシステムになっている(グローバルスタンダード化)ともいわれるが、(A)アジアやアフリカのナショナリズムに目覚めた人々の間では大国主導の押しつけだという批判もある

その一方で、各地域の独自性を重視しようという動きも見られる。まず、地域の中で関税や非関税障壁(しょうへき)、輸出入に関する諸規制を撤廃(てっぱい)して、自由に貿易を行う動きで、(B)欧州連合(EU)がその代表的なものである。1958年、ヨーロッパ経済共同体(EEC)の成立で、地域統合の動きは始まった。1967年には、ヨーロッパにおける経済統合の基となるヨーロッパ共同体(EC)が設立された。1993年、ヨーロッパ連合条約(マーストリヒト条約)の発効により、ECがEUに改組された。その後、加盟国が拡大し(27カ国2012)、共通通貨ユーロも導入され、発展を続けている。


[問1] 下線部(A)について、グローバリゼーションの進展に批判的な意見として、あてはまらないものはどれか。次の(1)〜(4)のうちから,一つえらびなさい。
(1)他国の文化の流入によって、自国の文化や伝統的な社会制度が破壊される。
(2)国際的分業が進み、最適の国、場所によって生産活動が行われるため低コスト
  での生産が可能になり、物の価格が低下する。
(3)安い輸入品の増加や多国籍企業の進出などで、競争に負けた国内産業は衰退
  する。
(4)投機資金の短期間での流入や流出によって、為替市場や株式市場が混乱する。

[問2] 下線部(B)欧州連合(EU)の説明で、正しいものをひとつ選びなさい。
(1)ノルウェーはEUの結成当時からの加盟国であり、欧州における地域的経済統合
  を積極的に進める立場をとっている。
(2)EUにはかつての東欧諸国は加盟していない。
(3)ユーロを導入した国では、共通の金融政策が実施される。
(4)イギリスは、積極的に通貨統合を推進する立場をとっており、ユーロ導入と同時
  に参加にしている。

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