第4課

【4】社会福祉しゃかいふくし

生活困窮者に最低限の生活を全額公費負担で保障するイギリスのエリザベス救貧法により公的扶助が始まった。その後病気や失業などの生活不安に備え,被保険者,事業者が保険料を払い,事故が起きたときに,そこから給付を受けるという社会保険が1880年代にドイツで始まった。
1929年の大恐慌1の後,公的扶助と社会保険をあわせた社会保障制度が普及することになった。
この社会保障制度は財源の構成から大きく3つに分けられる。まず1つ目はイギリス・北欧2型で,すべての国民に適用され,公費負担の占める割合が高い。2つ目はヨーロッパ大陸型で,社会階層に応じて制度が分かれており,保険料の占める割合が高い。3つ目は三者均衡型で,公費,被保険者,使用者の負担割合がほぼ同じである。日本やアメリカなどがこれにあたる。
日本の社会保障制度は,公的扶助,社会保険,社会福祉,公衆衛生の4つの制度から成っている。公的扶助は生活保護法を中心に運営されている。社会保険は医療・年金・雇用・労災・介護の5つからなっている。「会社に雇われている人」「公務員」「自営業者など」の医療・年金保険はそれぞれ異なる。また介護保険は40歳以上の全国民が保険料を払い,費用の自己負担は1割で、残りは保険料と公費で運営されている。社会福祉は老人・児童・障害者などの福祉の向上を目指すものである。公衆衛生は国民の健康増進をはかり,地域の衛生環境を整備している。
1980年代以降,財政悪化などを理由に年金・医療制度の改革が行われたことにより,各種保険料の引き上げ,年金を受け取る年齢を原則60歳から65歳に変更,老人医療も一部有料化された。今後は少子・高齢化が進む中で高齢者や障害者が健常者とともに生活を送れる社会をめざすノーマライゼーション3の理念をもとにバリアフリー社会4の構築が求められている。

[問1] 社会保障の財源に占める割合で保険料負担の多い国はどこか。次の(1)〜(4)のうちから,一つえらびなさい。
(1)イギリス
(2)ノルウェー
(3)日本
(4)アメリカ

[問2] 社会保障制度に関する記述で誤っているものはどれか。次の(1)〜(4)のうちから,一つえらびなさい。
(1)健康保険の本人の負担割合は3割である。
(2)会社に勤めている人と市役所に勤めている人とでは加入する医療・年金保険は
  異なる。
(3)介護保険は公費と保険料,本人の自己負担で運営されている。
(4)1982年制定の老人保健法により,70歳以上の老人医療費は無料となった。

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