第9課

【9】開発協力と非政府組織かいはつきょうりょく と ひせいふそしき

国際社会を挙げて取り組むことが必要な問題は,地球環境問題や人権問題,軍縮など,たくさんある。こういった問題への対処において,(A)NGO(=非政府組織)1NPO(非営利団体)2の果たす役割が,ますます重要になってきた。発展途上国の経済開発や社会開発のために資金や技術を提供する「開発協力・開発援助」についても同様である。

NGO活動はグローバル化した環境問題、国際的な経済格差、人権問題などの克服に向けて広範囲に及んでいる。現在、NGOの存在は広く認められていて、国際会議で政府間協議と同時にNGO会議が開かれ、国連の会議にオブザーバーとして出席を認められている団体もある。代表的なNGOとしては、人権侵害から基本的人権を守ることを目的としたアムネスティ・インターナショナル3、環境保護のグリーンピース4などがあげられる。

国際的な開発援助を代表するのが(B)ODA(政府開発援助)5である。ODAは贈与(無償資金協力)、借款(しゃっかん、有償資金協力)、国際機関への拠出の3つに分けられ、各国によって事情は異なる。日本のODAは、総額でみるとアメリカと並んで最高水準だが、対GNP比は先進国の中で最低水準となっている。また、贈与の比率が低い、アジア諸国向けが半分以上、貧しい人々の生活向上に役立っていない場合が多いなど、問題点も指摘されている。


[問1] 下線部(A)の例としてあてはまるものを、次の(1)〜(4)のうちから一つえらびなさい。
(1)国際的な紛争を解決するための裁判を行っている。
(2)福祉や消費者運動などの社会問題を解決するために、活動している。
(3)災害や紛争の被害者に対して、国境を越えて医療活動を行っている。
(4)先進国の政府が発展途上国に資金援助を行っている。

[問2] 下線部(B)について、下の文章の中で誤っていると思われるものはどれか。次の(1)〜(4)のうちから,一つえらびなさい。
(1)日本のODAの総額は、世界の上位に位置するが、対GNP比は目標値を大きく
  下回っている。
(2)日本の二国間援助の大半は、発展途上国の多いアフリカ向けである。
(3)日本のODAは有償援助を中心としている。
(4)日本政府は、ODAについて、軍事目的の使用の回避を原則の一つに掲げている。

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