第1課

【1】近代の成立きんだい の せいりつ

<産業革命>
「産業革命」(Industrial revolution)という言葉は,18世紀の後半にイギリスで始まった「産業・経済・社会上の大変革」のことを表す。この変革によって,工業生産の体制がマニュファクチュア(=工場制手工業)  から工場制機械工業に変わった。これにより,工業生産において大量生産が可能になり,本格的な資本主義経済が成立することになった。
イギリスでは最初に,繊維部門などの伝統的な分野で産業革命が進展した。18世紀後半に毛織物産業に代わり木綿工業が盛んになった。木綿工業の発展とともに,大工場で使う機械を製造する機械工業,機械の原料である鉄を精錬するための鉄鋼業も飛躍的に発達した。
この時期に,イギリスではさまざまなものが発明された。木綿工業に関するものではジョン=ケイによる飛び梭(ひ)[flying shuttle]、カートライトによる蒸気機関を利用した力織機の発明が有名で、これらの発明により綿工業の機械化がさらに進んだ。また、すでにあった蒸気機関を,1769年にワットが大改良し,以後さまざまな分野に大きな変革をもたらした。

イギリスでの「産業革命」は,のちにフランス・ドイツ・アメリカなどに波及した。この産業革命によって、イギリスは「世界の工場」と呼ばれるほど発展した。しかし、劣悪な環境での労働、資本家と労働者の対立という社会問題も起こった。

<アメリカ独立戦争>
18世紀後半に,イギリスの植民地だった13植民地(=北米大陸の東岸沿いの地域)が,本国イギリスから独立するために戦った。この戦争によって,アメリカ東部地域の権力や社会の関係,または階級的な関係が大きく変わった。そのため,単なる戦争としてではなく,「独立革命」と呼ばれることが多い。

13植民地に移住し,ここを開拓してきた人々は,地域ごとに自治的な政治を行っていた。本国であるイギリスは,いちおう植民地内での自治を認めていた。しかし,本国の経済的な利益を守るために,植民地での商工業の発展を抑えようとしていた。同時期のヨーロッパでは大国の間での戦争が絶えず,また,重商主義(政策)1を採っていた。本国イギリスは,13植民地に対して,さまざまな課税をした。印紙条令2茶条令3などである。これらに対して,植民地側も初めは言論で抵抗していたが,やがて住民の反抗も過激になっていった。

イギリスは植民地側を弾圧するようになったので、1774年植民地側は大陸会議(Continental Congress)を開いて本国に抗議したが,本国政府や国王は態度を変えなかった。翌年には,レキシントンで武力衝突が起こった。植民地側はワシントンを総司令官として,英国軍と戦うことにした。こうして対英独立戦争が始まった。1776年7月4日,13植民地の代表は,フィラデルフィアでアメリカ独立宣言4を発表した。トマス=ジェファーソンが起草した「独立宣言」は,ロック5の思想的な影響を受けたものである。
独立軍は,初めは武器や食料の面で劣勢だった。しかしその後,ヨーロッパ諸国が参戦したり、支援をしたりしたので,だんだんと優勢になった。本国イギリスは,1783年のパリ条約でアメリカ合衆国の独立を承認した。その後しばらくは,13植民地を基盤にした東部13州が緩やかに連合していた。しかし,1787年に合衆国憲法6が制定され,1789年には連邦政府が発足し,ワシントン(George Washington)が初代の大統領に就任した。

<フランス革命>
 一方、フランスにおいても革命が起こった。革命前、フランスではアンシャン=レジーム7(特権身分が農民を支配する旧体制)が維持され、特権階級は第三身分からの税金によって生活していた。しかし、フランスはヴェルサイユ宮殿建造、ルイ16世の妻・マリーアントワネットの散財などによる財政難に陥った。この財政難から特権身分に課税しようとすると、特権身分がこれに反発。特権身分と農民・市民が対立し、第三身分は国民議会を成立させ、球技場(テニスコート)の誓いで憲法制定までは解散しないことを誓った。そして、1789年、パリ民衆によるバスティーユ牢獄襲撃からフランス革命が始まった。
革命が始まってから国民議会8封建的特権の廃止9人権宣言10の発表をした。つづく立法議会は1971年憲法制定、立法議会はオーストリアとの戦争を開始。その後のロベスピエールをリーダーとする国民公会11はルイ16世を処刑し、反対派を次々と処刑する恐怖政治と呼ばれる政治を行った。また、この時期に男子普通選挙を定めた1793年(ジャコバン)憲法が成立した。そして、最後に総裁政府が成立したが、ナポレオンが起こしたブリュメール18日のクーデタによって倒れ、フランス革命は終わった。

[問1] 産業革命のときに起こった現象として、間違っているものを1つ選びなさい。

(1)資本主義が発展して、都市化が進み、街の人口が増えた。
(2)鉄道・海運などの分野で交通革命が起こった。
(3)労働条件の悪かった労働者は、資本家に対して革命を行った。
(4)産業化が進むイギリスでは、財産を持つ市民に選挙権が与えられた。

[問2] フランス革命の歴史の流れについて正しいものを1つ選びなさい。

(1)オーストリアに宣戦→バスティーユ牢獄襲撃→ナポレオンによるクーデタ→人権宣言
(2)オーストリアに宣戦→人権宣言→バスティーユ牢獄襲撃→ナポレオンによるクーデタ
(3)バスティーユ牢獄襲撃→人権宣言→オーストリアに宣戦→ナポレオンによるクーデタ
(4)バスティーユ牢獄襲撃→オーストリアに宣戦→ナポレオンによるクーデタ→人権宣言

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