第3課

【3】資源と産業しげん と さんぎょう

日本固有のエネルギーや資源は生産量が少なく,大部分を輸入に頼っている。例えば石油は年間約2億4,300万キロリットル(2006年)を外国から輸入し,日本は世界第2位の石油輸入国である。産業活動や暮らしに欠かせない電力は火主水従型1で発電している。原子力発電は20〜25%で,地熱・風力・太陽光発電などをさらに広めていく努力を行っている。。

日本の産業は19世紀の明治維新によって,輸出産業の育成が進められ,外国との貿易が盛んになった。当時の工業は軽工業の製糸工業などが中心に拡大していったが,第二次世界大戦後には高度経済成長を迎え重化学工業を中心に発展していった。とくに粗鋼生産,自動車,造船,電気,電子機器などでは世界最大規模の生産国となった。このような発展は中京・京浜・阪神・北九州2の四大工業地帯を中心に進んでいった。しかし近年では北九州工業地帯の出荷額は低下し,三大工業地帯,関東内陸工業地域,瀬戸内工業地域を中心に生産が行われている。また空港の近くではIC,半導体産業が発達しており,九州地方をシリコンアイランド3,東北地方をシリコンロード4と呼んでいる。

このように外国から輸入したエネルギーを使い,日本各地で生産された工業製品を外国へ向けて輸出している。自動車や機械類の輸出は世界でもトップクラスの輸出をほこっている。しかし一方でアメリカとはいろいろな品目で貿易摩擦5が生じたため,アメリカは日本に市場の開放などを要求した。この貿易摩擦の回避や円高によって,工場を海外に置く企業が増加した。また日本人の労働賃金が高くなると,賃金の安いアジアの発展途上国に工場を移転する企業も増加した。これによって国内に工場が少なくなり,2000年頃から産業の空洞化6が目立つようになってきた。

日本の農業は家族経営で行われており,国土における農用地が少ないことから,耕地面積は1〜2ヘクタールで,アメリカの約50分の1程度しかない。そのため兼業農家7が多い。また労働力や資本をつぎこみ集約的に農業を行っており,単位面積あたりの生産性は高い。農作物は米が中心であったが,消費量が減少したことにより1969年から生産調整が行われ,また1999年からは関税化による輸入も始まったため,米作中心であった日本の農業は変化してきた。現在では様々な農作物を輸入しており,米以外の作物の自給率は低下している。

日本の水産業は1970年頃まで,世界一の水揚げ量があったが,近年は低下している。水揚げ量日本一は千葉県の銚子漁港(2007年)である。輸入量は世界一で魚介類の自給率は62%(2007年)である。一方で欧米や中国などでは消費量が増加している状態で,今後魚介類の国際価格の高騰や魚の資源獲得競争が起きる懸念もある。そこで日本の漁業は養殖漁業・栽培漁業などの育てる漁業へ転換している。

日本の林業は戦後外国からの木材の輸入が増え,経営が難しくなっている。1960年には90%あった自給率も現在ではかなり低下している。理由は外国産の木材が安いこと,若い人が都会へ出て山村の過疎化8が進行し,働き手がいないことなどが挙げられる。


[問1]  下の表を見て,次の(1)〜(4)のうちから,正しいものを一つえらびなさい。
 
日本の主要相手国別輸出入額
(単位 10億円)
国(地域)輸入額輸出額
2009年2009年
(A)11,43610,236
(B)5,5128,733
台湾1,7113,399
(C)2,720502
(総務省 統計局 2011年度版より作成)

(1)A:アメリカ  B:中国    C:韓国
(2)A:中国    B:アメリカ  C:韓国
(3)A:アメリカ  B:中国    C:サウジアラビア
(4)A:中国    B:アメリカ  C:サウジアラビア
 
[問2]  第二次世界大戦後の日本の稲作について,下の文章の中で誤っているものはどれか。次の(1)〜(4)のうちから,一つえらびなさい。

(1) 品種改良による生産量増加や食生活の変化によって,生産過剰となり,
     減反政策が行われるようになった。
(2) 諸外国からの輸入自由化の要求にもかかわらず,食糧自給の観点から,
     米の輸入禁止措置は現在も続いている。
(3) 国内での米の生産,流通は,食料管理制度のもとに置かれてきたが,近年,
     新たな制度によって規制緩和がすすめられている。
(4) 全国的にすすめられた食料増産事業の一つとして,秋田県の八郎潟では干拓が
     行われ,大規模な稲作経営をめざす村が誕生した。

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